弟、時々恋、のち狼
「え、ちょっ……」
ガタンと立ち上がると振り返りもせずにドアに向かう。
急にオロオロし始めたのもまた、気にくわなかった。
「さよーならー」
なんでだかわからないけど、すごくムカムカする。
サイテーだ。
ピシャン。
勢い良く後ろ手にドアを閉めた。
ガシャン!!
部屋の中で、イスをひっくり返したようなにぎやかな音がしたけれど、気にしない。
ロウなんかもう知らないっ!
廊下をドカドカと音を立てながら教室に戻ると、クラスは帰りのショートホームルームが始まるところだった。
ツカサはチラリとこっちを見たけど、何も言わない。
怒りのパワーだろうか。さっきまであんなに気になったツカサの一挙一動が、どうでもいい。