弟、時々恋、のち狼


「ラッラは、さ……ミィとロゥが体を離れたあと、どうしたの?」


小さな国だったから。
大きすぎる力だったから。

国の内外で、争いは悪化していた。
神にも等しい私たちをめぐって。

長く交わりすぎたのだ、と思う。

つい……人に近寄りすぎたのだ。


「………………もうっ!!なんてデリカシーがないんでしょうっ!!」


とれる策は一つだった。


--去れば、いい。


だから。
ラッラは残された。


だから。
ロゥとミィは…………天に祈り、命を還えした。すべてに背いて。
いつか人なれることを切に望んで。


「ごめんっ」


一気に毛を逆立てたラッラに、反射的に謝った。
やっぱり、触れられたくないほど辛い毎日だったのだろうか。


「………………オボえていません……」


さらなる怒声に覚悟を決めた耳に聞こえてきたのは、淡々としたつぶやき。怒った風でもなく。嘆くようでもなく。



< 164 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop