弟、時々恋、のち狼
嵐の前触れ
どこ!?
「ツカサ!?」
今の今まで一緒にいたはずなのに、姿が見当たらない。
アタシは半分パニックを起こしながら、涙目で必死に店内を探してまわる。
何の予定もない土曜日。
雑貨屋さんに行きたくて、ツカサに頼んでついて来てもらった。
街中でもしものことがあったらいけない。
……そう思ったのに、気付くと、その姿が消えていて。
どうしよう……どうしよう……。
一昨日のできごとが頭をよぎり、より一層不安になる。
離れちゃダメなのに。
バックの中をガチャガチャとひっかきまわし、ようやく見つけたケイタイを慌てて開いた。
トゥルルルルル……
呼び出し音だけが繰り返される。
『どこ!?』
メールを打ち、また電話をかけ……。
--ぅわっ!!
記憶が蘇る。
急に大きく燃え上がったアルコールランプの火で火傷した同級生。
割れたビーカーの破片のせいで額から血を流していた、友達。
生々しくフラッシュバックするその光景に頭を振り、アタシは半狂乱でリダイヤルをし続ける。
ツカサ。
ツカサ。
助けて!!