弟、時々恋、のち狼
嫌われちゃうかもしれないな……。
自嘲ぎみに、思う。
ロウに嫌われるなんて、考えただけで、死にたくなるほどツラい。
それに、ロウに嫌われるなんて、ミイとしては失格だ。この生の意味がない。
でも…………。
アタシは、ツカサから離れられない。
そして。
困ったことに。
アタシは……ちょっとずつ、ツカサが、気になり始めている……。
一目惚れを感じるほどの外見。
アタシを守ってくれている事実。
嫌じゃ、ない。
「買い物、終わったの?」
「ぅわっ」
文房具やシュシュなんかの、欲しかったものが入った紙袋を抱えていることに気づいたツカサが、横からぬっと顔を出した。
ぼうっとしかけていたアタシは、思わず間抜けな叫びをあげる。まったく……距離感が心臓に悪い。
「あ、うん。終わった。出よ」
おかしそうに笑みを含んでこちらを見る視線に、慌てて背を向ける。
今日はこれでもう、用事は済んだ。
あとは帰って静かに過ごそう。お気に入りのマンガでも読んでいれば、きっと、イライラして何かを壊してしまうこともないはずだ。
「……今日はありがとう」
店からしばらく歩いたところで、後ろを振り向いた。