弟、時々恋、のち狼
刺激的な甘いささやきがリフレインしてしまって、ゆうべは一晩中悩まされた。
考えるだけムダなのに。
……だって、あのロゥとかいうヒトは気の毒な心の持ち主で……言ってたことは全部、妄想。
アタシと彼の間にはなんの関係もナイ。
きっと、そうだよ。
名前はたまたま。
思うのに、なぜか、すっきりしない。
ーー愛してる。
それほど、鮮烈な出来事だった。
簡単に忘れられっこない。
何かの瞬間にふと蘇っては、不思議に胸をうずかせる。
「おはよー」
昇降口を目前にポンとうしろから肩をたたかれ、アタシはびくりと首をすくめた。