弟、時々恋、のち狼

「好きでしょう？」


……そりゃあ。

ブラウニーの乗った華やかなチョコレートパフェも、苺をふんだんに使ったショートケーキも、クリームたっぷりのミルクレープも。


「甘いものばかりだと飽きる」


クリームチーズに生ハム。少し茶色いパンに飾られた具も、好きなものばかりだ。


「……ありがと……でも……」


食べきれないよ。
高そうなのに……。


「心配はいらない」


そっけなく、でも優しい言い方。

ほら、とアタシに勧め、ツカサは自分もケーキに手を伸ばした。


「ツカサくん、甘党？」


「……悪いか？」


ちょっと意外に思って訊くと、少し拗ねたような声。


「ううん。悪くない」


つい、クスリと笑ってしまった。

悪くはないけど、ここまで好きな物が重なるとは思ってなかった。
それに……なんだか、滅多に見れない素顔が見られたみたいで……嬉しい。


「じゃあ……ちょっとだけ……いただきます」


時間はまだ大丈夫。ロウも今帰ってきたばかりらしいから、すこしゆっくりしてもらおう。
アタシが呼び出したんだから、お礼にちょっとくらいつき合わなくちゃ。