弟、時々恋、のち狼
「ミィに執着?」
カチャリとカップを置き、机の上に指を組んだ。
急に冷えたその温度に、逃げ出したくなる。
「あ、ごめん。気にしないで」
言わなきゃ良かった。
調子にのって、アタシ、バカだ。
「ミィじゃない。
オレが欲しいのは、ミフウだ」
ささやくように。
しかし、力強く堂々と。
「過去はすべて今につながる。ミィももちろん特別だ。でも、オレが愛するのはミフウなんだよ」
それは、思いがけず。
極上に甘い愛の告白。
ロウに「愛してる」と言われると、幸せでとろけそうになる。
ツカサに言われると……胸が、苦しい。涙が出そうだ。
アタシは、恥ずかしくて「愛」なんて簡単に口にできない。
「好き」と「愛」は違うのかな……。
どう答えたらイイのかわからず、アタシはまたしても俯いてしまった。
「ミフウはオレのもの。もうすぐ、ミフウからオレを求めるようになるよ。
……ところで、逆に質問してもいい?」
突然真面目になった声色に、何事かと顔をあげると、熱い視線に射抜かれる。
「オレが、怖い?」
少し寂しげな、でも熱のこもった瞳から、逃げられない。