弟、時々恋、のち狼
「今どこ?」
心配そうな声に、嗚咽をこらえて答えれば、迎えに行くと言う。
「ロウ、大好き」
唐突な告白に驚いたような間が開いた。
そして
「オレも大好きだよ」
ちょっとずつ、心が鎮まっていく。
「早く会いたいよ……」
アタシは、ロウになら、素直になれる。
ロウに触れたい。
キス、して欲しい。
アタシの頭の中をロウだけにして、何も考えられないようにして欲しい。
早足でロウの部屋に向かいながら、アタシたちは、電話口でとりとめのない会話を続けた。
「あ」
そのうち、急に電話が切れたかと思うと、曲がり角に、恋焦がれたロウの姿。
穏やかな微笑みに、心が溶かされていくようだ。
駆け寄って、アタシから指を絡めた。
「どうしたの?」
やけに積極的なアタシに目を丸くしつつ、ロウも堅く手を握り返してくれる。
「寂しかった?」
訊かれて頷けば、嬉しそうに目を細める。
「オレも」
この手を離したくない、と思った。
ずっと、こうしてつながっていたい。
つないだ腕を、あいている左手で引き寄せ、ギュッと抱きかかえる。