弟、時々恋、のち狼

「ミイ?」


今日のアタシは、きっと変に見えることだろう。
それでも、イイ。
1mmでも近くにいたい。


「ミイ…………」


マンションのエレベーターに乗り込むと、ロウがアタシの耳元でささやいた。


「まだ先だけどさ、オレの、お嫁さんになってくれる?
オレのすべてを受け入れて……」


甘い、甘い、誘い。

そっと降ってくる唇の柔らかさをうっとりと感じ、夢見心地のまま、ロウの部屋の扉をくぐる。


「ラッラは散歩に出したんだ」


イタズラっ子のような表情に思わず笑ってしまう。


「アタシ……ロウのお嫁さんになりたい」


靴を脱ぐロウの額に、初めて、自分から口づけた。


「きゃっ」


ガクンとひっぱられ、ロウの膝にすっぽりおさまる。


「ミイ……」


心も体もとろけるような熱いキスに、息があがる。

はぁ……と熱っぽい吐息をもらすと、同じくらい熱っぽい瞳と出会う。


「オレと結婚してオレの子を産んで。この命も一緒に過ごそう。オレたちは自由だ。誰も、止めることはできない。
愛してるよ」


それは魔法の言葉のようで。

アタシの中を、ロウが満たしていく。


靴を脱ぐのももどかしく、アタシたちはキスを重ねる。


お互いを、確かめあうように。

ロウを、アタシの中に刻むように。


この熱が、永遠に冷めないように。


これを…………愛と呼べるように。



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