弟、時々恋、のち狼
「これでダイジョウブですわぁ」
満足そうにヒゲをピンと張った子猫の姿に、笑みがもれた。
散歩から戻ったラッラは、窓が開くまでしばらく外で待たされたらしく、ついさっきまで不機嫌を絵に描いたようだった。
「これでもう、ミイのナヤみはカイケツですわねぇ」
「ありがと。
……ロウも……ごめんね」
場もたせも兼ね、そういえば、と話し始めたはいいが……今度はロウの機嫌がラッラと反比例して悪化してしまった。
「そうですわよぉ。いつまでもコドモみたいにスねてないでぇ」
むっつりと黙り込み、剣呑な目つきでアタシたちを見るロウに、ラッラもいい加減呆れ気味だ。
「ホント、ごめんってば!!
頼りにしてなかったとかじゃなくて……」
「わかってる」
ちっとも納得していない顔で言われても説得力がない。
やっと口を開いたはいいけれど……。
アタシはなんとか信じてもらいたくて必死だった。
「わかってるよ。心配かけたくなかったんだよね。
でもさ、その方がよっぽどイヤな思いさせるとか、考えなかったわけ?」
射るような強い眼差し。