弟、時々恋、のち狼


これで、ツカサに頼らなくてもすむ。


アタシは、安堵のかげの気持ちをあえて無視した。
それは……一抹の、寂しさ。
ここまで想われているというのに……ツカサといられなくなることに寂しさを感じてしまう、アタシの、最低な気持ちだ。


「さて、と。ミイは遅くなる前に帰らないとね」


できるなら、ずっとここにいたい。
そんな思いがこみ上げる。

でも、アタシは突然先生面したロウに追い立てられ、後ろ髪ひかれる思いで、重たい腰をあげた。


「大丈夫。離れてる時も、見守ってるから」


うちの近くまで送ってくれた別れ際、ロウは、そう言うと、ミサンガにそっと触れた。

温かな絆を感じる。


「ね?」


……うん。きっと、大丈夫。

不思議と、そう思えた。


今日はぐっすり眠れそう。


「また学校で」




なのに。


穏やかな幸せは、そう長くは続かなかった--。



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