弟、時々恋、のち狼

月曜日。

玄関を出ると、驚いたことにツカサが立っていた。


「行こう」


当然のような言い方と、強引なエスコート。


「なんで……?」


今日、言おうと思ってた。
御守りのこと。

それと、もう、一人で平気だということ。

そんな、矢先。


「学校に遅れる」


なぜかと問うて、返った答え。


この間のこと、気にしてないのかな……。


逃げ帰るようなアタシの態度を。


「いや、そういうことじゃなくって……」


ツカサがうちの前まで来たのは初めて。
いつもアタシが、嫌がったから。


「恥ずかしがらなくていいよ」


……いや。そういうことでもなくて。


つながれた手を放そうにも、ツカサにその気が微塵もない。


「どのみち、ミフウはオレのものだ」


「ちょっ!!」


うちの近所でそういうこと言わないでよ!

真っ赤になって手を引けば、


「もっとそばがいいの?」


話しに、ならない。


アタシの抗議も、まわりの視線も。

ツカサは気にも止めずに、涼しい顔して歩く。


……はたから見たら、もしやこれってバカップル……?


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