弟、時々恋、のち狼
ジーンズの上、ラフに羽織った白地のシャツには薄墨のような色で所々に桜が描かれている。
中に着た深いピンク色のインナーと良く似合っていて、上品な雰囲気だ。
ハーフ、だろうか。
日常の風景なんかよりも、雑誌やテレビの中にいる方がきっと、しっくりくる。
そんな、男の人。
王子様。
少しの違和感もなく、その言葉の似合う青年だった。
「あの……?」
「めちゃくちゃ探したよ」
場合によっては冷淡な印象を与えるほどに整った顔が、笑み崩れる。
こんなに華やかな笑顔を、アタシは今まで見たことがなかった。
「え……と……?」
こんなカッコイイ人、一度でも会えば絶対忘れない。
自信をもって、初対面だ。……と思う。
なんでアタシのコト知ってんの?
「夢、見てるみたいだ……ついに見つけた!!」
よく響く甘い声を震わせて、彼はアタシをじっと見つめる。