弟、時々恋、のち狼

「平気なんでしょう?一人で1日過ごしてみせてよ」


意地の悪い笑み。


「泣くかもね」


さも愉快そうに言い放つ。


……誰が。
妙に悔しい。


「言われなくても平気だから!」


あっかんべえをするくらいの気持ちで言い返し、アタシはツカサを置いて歩き出した。

不敵というか、傲岸不遜というか。

時折ホント、ついてけない。


アタシは絶対大丈夫なんだから!!


拳を固く握りしめた。


明るい太陽に、気持ちのいい涼やかな風。
ミサンガだってちゃんとしてるし、こんなステキな日に、何か起こるわけがない。

振り返らずズンズン歩いているうちに、気分が、少し、明るくなった。

考えてみたら、学校で堂々と友達と一緒にいられるのなんて久しぶり。
ツカサには悪いけど、なんだか、イイことありそうだ。


「あ。カナちゃーん」


校門のところで、早速イイことの一つ目。
アタシは、カナちゃんに追いつくと、並んで下駄箱に立った。

久々の気兼ねなしのおしゃべり。心が弾む。

昨日見たテレビの話しや、先生の悪口。
そんな他愛ないおしゃべりが嬉しかった。





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