弟、時々恋、のち狼

「ミフウってさぁ……何気にキレイだよね」


昼食時、突然、真向かいにいたカナちゃんにそう言われ、アタシは激しく咽せ込んだ。


「な……っ……何、急に……」


ママの作ってくれた甘い玉子焼き。大好きなのに、あやうく吹き出しそうになった。
びっくりし過ぎたせいで、うまく声が出ない。


「顔立ちがさぁ、派手じゃないけど整ってるし。
ただ」


ただ?


「自信なさげにいつも俯いてたでしょ?から、滅多に正面から顔見えないし、なんていうか……」


ふと見れば、まわりの友達もうんうん言いながら頷いている。
…………喜ぶべきか……悲しむべきか。


「先に言っとくけど悪口じゃないからね?
オーラがさぁ……モサイってか……暗いってか……だったからさぁ……。
イイ?ホント、悪口じゃないよ?」


……なんか、そう念を押されまくると、逆に気になる。
いや……暗いとか、自覚もあったんだけど……ね。


「んーと……だからさぁ……。
変わったよね、って」


言葉を濁したわりに、カナちゃんは言いたいことをやっと言えたようなすっきりした顔でアタシを見ている。


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