弟、時々恋、のち狼

「もちろんっ!!
なんかねー、昨日まで海外にいた帰国子女らしいよ?」


「……どっからそんな噂仕入れてきたの……」


ちょっと呆れてしまう。
まだ学校に知り合いはほとんどいないはずなのに。
耳聡いというか、なんというか。

でも。
確かに、そんな事情なら、今日からの登校もあり得るのかも……。


「あ、アタシあっち!」


靴箱のところで一度別れて、また、合流することにする。

クラスの靴箱が教室に近いアタシは、履き替えて、すぐに来るだろう詩織を待った。
まだ慣れない校内。
一人で歩くにはドキドキする。


……遅いな。


1分もかからないはずなのに、何をもたもたしているのやら。
詩織の姿はなかなか見えない。

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