弟、時々恋、のち狼
「大丈夫」
心をくすぐる、甘やかにすら聞こえる響き。
「ミフウと俺は一つ。離れてはいけない。かつて、一つの魂だったから」
感じるでしょう?
深い安堵を。
半身に焦がれる魂を。
「……うん」
なぜ?
ロウに感じると愛情とは違う。
静かな、深い思い。
「行こう」
どこへ?と問う間もなく、ツカサの意思がアタシを包む腕から伝わってきた。
あぁ。
その意思がアタシの意識にのぼる前に。
目の前で光がはぜて。
二人の姿は、この世のどこからも、消えていた。