弟、時々恋、のち狼
※
懐かしい場所だ。
一瞬そう思った。
ミィとしての最後を過ごした社。
「…………?」
けれど。
よく見ると、違う。
もっと小ぢんまりとしていて、装飾も少ない。
神なる存在を祀る社というより、居心地の良い家、だ。王族が休暇に好んで使う離宮に近いのかもしれない。
「ツカサ?
……あ」
キョロキョロとまわりに気を取られていたアタシは、自分の服が昔の白い長衣に戻っていることに気づかなかった。
足音に振り向き、ツカサの格好に驚いて初めて、自分自身にも目を落とす。
「ここは……?」
明るい窓際に置かれた柔らかな長椅子に導かれ、困惑を口に出した。
「妙なことを」
座卓にコトリとグラスを置き、ツカサは怪訝な顔をした。
「俺たちの居るべき場所。ミフウが望み創った場所」
……アタシが?
薦められるままグラスに口をつけると、予想に反してほっこりと温かい。
蜂蜜をたっぷり入れたホットレモネードのような味が、気持ちを落ち着かせてくれる。
懐かしい場所だ。
一瞬そう思った。
ミィとしての最後を過ごした社。
「…………?」
けれど。
よく見ると、違う。
もっと小ぢんまりとしていて、装飾も少ない。
神なる存在を祀る社というより、居心地の良い家、だ。王族が休暇に好んで使う離宮に近いのかもしれない。
「ツカサ?
……あ」
キョロキョロとまわりに気を取られていたアタシは、自分の服が昔の白い長衣に戻っていることに気づかなかった。
足音に振り向き、ツカサの格好に驚いて初めて、自分自身にも目を落とす。
「ここは……?」
明るい窓際に置かれた柔らかな長椅子に導かれ、困惑を口に出した。
「妙なことを」
座卓にコトリとグラスを置き、ツカサは怪訝な顔をした。
「俺たちの居るべき場所。ミフウが望み創った場所」
……アタシが?
薦められるままグラスに口をつけると、予想に反してほっこりと温かい。
蜂蜜をたっぷり入れたホットレモネードのような味が、気持ちを落ち着かせてくれる。