弟、時々恋、のち狼

「いくら人間になりたいと願っても、使命を捨て去ることはできなかった」


一体、何を言おうとしているのだろう。


「ロウの魂とミイの魂は、それぞれ2つに分かたれた。
使命と、心。言い換えれば、力と、記憶、に」


頭の中はすっかり固まってしまったように働かない。
ただただ、神秘的な瞳に、魅入られる。

それでも、ツカサの言葉は静かに流れ込んで来て、どこか奥深い所に染み込んでいった。


「俺たちは、元々、ミイだったんだよ。二人で一つ」


「……二人、で……?」


「俺は記憶をしっかり留めたミイの心。そしてミフウは使命を帯びたミイの力。
……だから、不安定に破壊を始める力を、俺がコントロールできる」


「……だって…………男なのに……?」


アタシは意味のナイことを言っている。
わかっているけど、思考が追いついてこない。

だって……。

アタシとツカサが、両方、ミイだなんて……。
同じ魂をもつ片割れ同士だなんて……。


それできっと、いろんな疑問は解決できる。

けど。

気持ちが、追いつかない。


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