弟、時々恋、のち狼
「ミィ……すぐに行くから」
笑みを含んだ声は氷のような冷ややかさを伴っている。
「な……んで……」
「まさか」
喘ぐアタシの肩を、ツカサが抱える。途端、びくりと顔を強ばらせた。
どうやら、ロウの声が聞こえたらしい。キツい目でラッラを睨む。
「見えてるんだろ?」
挑発的な口調。
「ミフウはオレを選んだ。とっとと帰るんだな」
肩を抱く手に力が籠もる。
アタシはその手を強く握った。そうでもしていないと、この場から逃げ出してしまいそうだった。
「それはないな」
嘲笑が耳元に響く。