弟、時々恋、のち狼
「……良かった」
アタシの頭を撫で続けながら、ロウはひどく安心したように呟いた。
チクン。
また、胸がざわめく。
そうだ。
アタシはロウに何も言わずに逃げてきた。
「心配したよ?」
優しい優しいロウ。
ごめんなさい。
胸がつまって、それだけの言葉が言えない。
「穢れる」
低い苛立ちと共に、肩をぐいっと引かれ、つかさが間に割り込んだ。
とたん、ロウの表情が変化する。
表面は、笑ってる。でも、目は怒りに燃えていた。
般若の形相。
やっぱり、怖い。今の今までの愛しさが凍りついた。