弟、時々恋、のち狼
だからどうだというのか、アタシには見当もつかない。
だけど、ツカサの様子に、良くない兆候なのだと知る。
「ミイ?」
ロウはさらに綺麗な笑顔でアタシを呼ぶ。
まるで汚れを知らない天使の顔。あんなに恐ろしいと思うのに、神々しいほど、無邪気にも見えた。
アタシは………………。
やっぱり、ロウが恋しい。
ここに至って、気づいた気持ち。
ツカサと過ごしていくのは、想像していたよりずっと穏やかで、幸せだ。
そうしていれば誰にも迷惑はかけない。
強引なところもあるけれど、きっとアタシのことを誰よりわかっているのだろうツカサに愛されて暮らしていくのは、すごくラクなのじゃないかと思う。
でも、アタシは、ツカサほどの愛情を抱けない。
それだけはなんとなく確信できた。
だって、アタシはロウを好きになってしまったから。
誰かを傷つけるのは、嫌だ。
だからアタシはツカサとここにいる。
逃げ。
そんな、弱気な選択。