弟、時々恋、のち狼
またしても、二人の間に火花が散っている。今度は、長く激しく。
ツカサは庇うように手を前に突き出し、ロウはタクトを振るかのような優雅さで右に左にと腕を振っていた。
何か目に見えない大きな風がぶつかり合っている。
そう感じるのと、激しい脱力感に襲われるのはほぼ同時だった。
体中の力が少しずつどこかへ流れ出て行く感覚。
きっとこれが、ツカサの言っていたこと。
アタシのもつ力を、ツカサがふるっている。
はぁ。
思わず苦しい息を吐いた。
ミイの力は破壊の力。
ロウの力は創造の力。
ならば、あの空間では創造と破壊が繰り返されているのだろう。
これがもし、世界に広がったら……。
ゾクリとして外を見た。
……?
「やっぱり……?」
重たい手で目をこする。
見間違いなんかじゃ、ない。
さっき感じた違和感の正体がわかった。
「ラッラ!!」