弟、時々恋、のち狼

昨日会った王子サマ系の変人とはまた違う。
静かな男らしさを感じさせる、少年。


チラリ

目があった。


ドクンッ


心臓が跳ねる。


見ていることに、きっと、気づかれてしまった。

凛々しいけれど、愛想のない、近寄りがたい雰囲気。

せめて目をそらさなくちゃ……。


思うのに、目が離せない。

胸が、痛いほどドキドキと高鳴る。



ふっ…………。


ふいに、真っ赤な顔で立ちつくすアタシに視線を合わせたまま、彼が、笑った。

柔らかな、微笑み。


ぅわ…………。


笑われてしまったのに、恥ずかしいのに、一層、体が動かない。
鼓動は今にも彼のところに届きそうだ。


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