弟、時々恋、のち狼
「……ダメ…………」
なんで……?
アタシのもつ、いつ暴走するかわからない、ミィの力。
ツカサが制御してくれれば大丈夫、そう思ってた。
だけど。
ツカサは、わざと、ロウを傷つけるために、その力を制御している。
アタシの力で。
アタシの大好きなロウとラッラを。
アタシのためなんだろうってことくらいわかってる。だけど、頭と心は別物だ。
「もう……やめて…………」
絞り出したかすれ声は、二人に届かない。
……あぁ…ラッラが、あんなに小さく……ロウがもはや蜃気楼のように…………
アタシに力を制御する能力があれば、今すぐにでも止めるのに。
どんな理由であれ、こんなふうに力を引き出したりはしないのに。
アタシ……アタシが…………