弟、時々恋、のち狼

「チッ」

舌打ちとともに、ロウの右膝から下が消えた。
バランスを失った体がぐらりと傾ぐ。

「強がってはいても、防ぐのが精一杯か?再生までは手がまわらないらしいな」

ツカサの笑みは、見ているアタシを凍りつかせるほど、冷たかった。
破壊神と化したミィは、こんな感じなのかもしれない。そう思わせる。

…………………………アタシ、も?

もしかしたら、端から見て、こんな感じだったんだろうか。
もしかしたら、ロウから今、こう見えているんだろうか。

そんな……こんなの…………

「……もう……やめてーーー!!」

傷つけるためだけの力なら。
その力のためだけの器なら。

アタシが壊れればイイ。


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