弟、時々恋、のち狼
「ミフウ!?」
突然走り出したアタシに驚いたツカサが、とにかく止めようと手を伸ばす。
あと少し、けれどロウがその隙を見逃すはずもなく、ドンと大きな音がして、爆風が巻き上がった。
「…っ……う……」
背後からツカサのうめき声が聞こえたけれど、アタシはもう振り返らない。
どうするか、やっと決めた。
「!!な……ミィ!!」
勢いまかせにバルコニーに飛び出すと、そのまま一気に手摺を飛び越える。
ふわりと風を感じたのは一瞬。見晴らしの良い高い位置から、今度は重量を一挙に感じた。