弟、時々恋、のち狼

言われてようやく、その不慣れな違和感に気付いた。

……ツカサ?どこにいるの?

声が直接脳裏に響いているかのよう。
音になっていないのに、聞こえる。

「わかってるくせに」

少し意地悪な物言いは、いつものツカサだけれど……

……アタシの、中?

「怖がらなくていい。もう少ししたら出て行けるから」

一度そうわかってしまえば、アタシとツカサの意識が、体温が、溶け合っているのがはっきりと意識できた。

「まったく……無茶する」

少しほっとしたようなその声に、急に申し訳なさが募る。

ごめん……。

いくつもいくつも、謝らなければならないことがある。
< 247 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop