弟、時々恋、のち狼
言われてようやく、その不慣れな違和感に気付いた。
……ツカサ?どこにいるの?
声が直接脳裏に響いているかのよう。
音になっていないのに、聞こえる。
「わかってるくせに」
少し意地悪な物言いは、いつものツカサだけれど……
……アタシの、中?
「怖がらなくていい。もう少ししたら出て行けるから」
一度そうわかってしまえば、アタシとツカサの意識が、体温が、溶け合っているのがはっきりと意識できた。
「まったく……無茶する」
少しほっとしたようなその声に、急に申し訳なさが募る。
ごめん……。
いくつもいくつも、謝らなければならないことがある。