弟、時々恋、のち狼
「……もうイイよ。仕方ない」
どれに対してなのかはっきりさせないまま、アタシたちは曖昧な会話を続けた。
言葉の隅々から、ツカサの思いが、痛いくらい伝わってくる。
アタシたちは元々一つだから。
こうして一緒にいると互いの気持ちが手に取るように感じられた。
ツカサ……アタシたち、どうして二つに分かれちゃったんだろうね……。
あのまま、ミィとして一つであれば、こんな苦しみはなかった。
ロウとラッラだって。
「この苦しみすら、きっと将来への大事な記録なんだろう。……今は受け入れ難いことだけれど」
だとしたら、神様は残酷な方だ。
アタシたちはこれから、どうなるのだろう。
「さあ。そろそろイイよ。目を開けて」
頬にずっと、ツカサとは違う誰かの温かい手を感じている。
そのことが嬉しくて、けれど、同時に……
ツカサはどうなるの?そこに、いる?
「さぁ?確かめてみれば?」
目を開けるのが、怖い……。