弟、時々恋、のち狼

「……もうイイよ。仕方ない」

どれに対してなのかはっきりさせないまま、アタシたちは曖昧な会話を続けた。

言葉の隅々から、ツカサの思いが、痛いくらい伝わってくる。
アタシたちは元々一つだから。
こうして一緒にいると互いの気持ちが手に取るように感じられた。

ツカサ……アタシたち、どうして二つに分かれちゃったんだろうね……。

あのまま、ミィとして一つであれば、こんな苦しみはなかった。
ロウとラッラだって。

「この苦しみすら、きっと将来への大事な記録なんだろう。……今は受け入れ難いことだけれど」

だとしたら、神様は残酷な方だ。
アタシたちはこれから、どうなるのだろう。

「さあ。そろそろイイよ。目を開けて」

頬にずっと、ツカサとは違う誰かの温かい手を感じている。
そのことが嬉しくて、けれど、同時に……

ツカサはどうなるの?そこに、いる?

「さぁ?確かめてみれば?」

目を開けるのが、怖い……。
< 248 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop