弟、時々恋、のち狼
次第に遠のいていくツカサの気配に、心細くなる
濡れた感覚に、まだ閉じたままの瞳から涙が溢れているだろうことを感じた
どのくらい、そうしていただろうか
次第に、まるで命綱にでもすがりつくかのように、気持ちが頬の温もりへと向かい始めた
寂しくて凍えそうな心を、和らげてくれる……
「…………ロウ……?」
恐る恐る、そっと、目を開けてみた
一瞬またしても光が突き刺さるように思えたけれど、今度は柔らかな灯りが心地よく揺れている
「気が付いた?」
安堵したように囁いたのは、紛れもなくロウの声
明るさに慣れると、すぐ目の前に覗き込んでいる顔が見える
「ロウ……」
あぁ……いつもの、ロウだ……
アタシの大好きな、穏やかで甘い微笑み
魔王なんかじゃない、王子様のような、ロウ