弟、時々恋、のち狼
「心配することはないよ。ただ……時間がない」

よく事態が飲み込めないまま、それでも、真剣な表情に息をのむ

「……ロウ?」

「もうすぐこの世界は消える。大丈夫、現実に戻るだけだから」

大丈夫というなら、なぜそんなに深刻な顔をしているんだろう

「ミイ……何があっても、これだけは覚えていて」

ふいに、力強く抱きしめられた

久しぶりのその感覚は嬉しくて、愛しくて、ちょっと切ない

「オレは、何があってもミイが好きだ」

耳元の、かすれた熱い囁き

「この気持ちは、紛れもなく『愛』だ。ミイを愛してる。どんなことがあっても」

「……ロウ?どうしたの?」

顔は見えないけれど、まるで泣いているかのように感じて、不安になった

「何度でもまた巡り会い、一緒に生きる。忘れないで」


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