弟、時々恋、のち狼
ふいに、クラクラと目眩に襲われた。
気のせいかと思ったけど、違う。
続いて襲った全身を締め付けられるような圧迫感と息苦しさに、思わず喘ぐ。
「大丈夫。すべてがあるべき姿に戻るだけだから……」
悟りきったようなロウの声が弱まった。
きつく抱き合ったアタシにだからこそ聞こえる吐息が、
「このまま消えてしまいたい」
そう呟く。
……あぁ……。
ロウも、この愛を惜しんでくれてる。
頬を温かな涙が伝った。
アタシたちは、想い合ってる。
息苦しさに薄れていく意識の下、アタシは幸せに微笑んだ。
アタシたちは……大丈夫。
「愛してる」