弟、時々恋、のち狼
ツカサは基本、感情がわかりにくい。理由は……いつも、偉そうだから。
実は喜怒哀楽激しいヤツだ、ってみんななかなか気付かない。
だから、クラスでもちょっと浮いちゃってて、なぜかアタシが会話の窓口みたいになってる。
ツカサに憧れてる女の子は多いのに……もったいないなぁ。
「ピアノはもともと弾けるから大して練習時間要らないもん。英語はもともとわかんないよ、アタシ日本人だしー」
「オレも日本人だ」
「国際社会の日本人ね。アタシ土着民。ベースが同じ分古典のがまだマシだよ」
「ベースって英語だろ」
「礎」
「石杖?」
「バカなコト言ってないでホラ、信号!走ろ!」
シロウ先生はアタシの憧れ。
もう、見てるだけで幸せになれる。
でももっと身近な楽しみは、この、ツカサとのくだらない会話。