弟、時々恋、のち狼

どくんと心臓が跳ねた。
なんだか頭がクラクラする。


「どうかしたか?」


何かがおかしい。

横断歩道もあと少しという所で立ち尽くす。
繋いだ手をぐいぐい引っ張られるけど、なぜだか急に、このままついて行ってイイのか不安になった。

急かすように手をひく、しかめ面をじっと見つめる。


「ツカサ……」


そう、ツカサ。
それは間違いない。
そのことには何の違和感もないから。

じゃあ、何が違う…………?


パッパーーー!!


クラクションがけたたましく鳴り、アタシは力いっぱい腕をひかれて、歩道へとよろけた。
バランスを崩して転びかけ……がしりと抱き留められる。


「ミフウ大丈夫か?」


……………………違う。

アタシを抱き寄せる腕も胸も。
これじゃ、ナイ。



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