弟、時々恋、のち狼

……なんの冗談?
……悪い、夢?


頬がーー上がり性のアタシをもってしてもーーかつてないほど赤くなっているのが、わかる。


我が君、って……。


やはり、映画や本の中だけで聞く表現。
いかめしくすら、ある。


アタシは真っ赤にパンクした頭で、なんとか事態を飲み込もうとする。
けれど……消化不良もイイところ。
……そもそも、大きすぎてロクに飲み込めていない。


昨日今日、おかしなことばかり、起こりすぎだ。


「覚えていないのも無理ないことです」


何を言ってるんだろう。
ツカサと会うのは今日が初めてなのに。

アタシにとって男の子は緊張するだけの存在で……こんな、胸が苦しくなるほど気になる相手は初めてだ。
前に会っているなら、絶対、忘れるはずがない。


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