弟、時々恋、のち狼
あれ?
汚れていてもよくわかる、神秘的なアーモンドの目。
このコ、どこかで見たこと、ある?
数日前の奇妙な男のことを思い出した。
あの子猫……のわけない、よね。
アタシには猫の顔なんか見分けられない。
まあ、万が一あの時の子猫だとしても、問題なのは猫じゃなく、飼い主の方だ。
猫を腹話術の道具するなんて許しがたい。
だったらなおさら、保護してやらなきゃ。ホントに猫がしゃべるなんてあるわけないし。
「アタクチはミィのお世話役だって言いましたでしょう?
離れているわけにはいきませんもの。
大成功!ですわぁ」
……かくして夕べ。
見事に猫を被った子猫が我が家に侵入した。