弟、時々恋、のち狼
「これでホームルームを終わります。
礼」
日直の挨拶で、ぼんやりしていた意識が一瞬、戻る。
ぺこりと頭を下げ、一時間目の準備は無意識の習慣に任せる。
小学校の1年生から、真面目さだけは評価されてきたアタシだ。
ふぅ。
息をついた。
……まさか、ラッラがホントにしゃべるなんてなぁ……。
両親の前ではただの猫のふりをしているし、アタシの部屋で、アタシと二人っきりの時にしかしゃべらないとギッチリ約束はしたけれど……。
やっぱり不安だ。
はあぁぁぁぁぁ
………………?
ふと、抱え込んでいた頭を上げ、アタシは青ざ
めた。
教室に、誰もいない。
アタシだけ。
……え?
一瞬考え、机の上の教科書を見る。
音楽。
無意識が出した次の時間の教科書。