弟、時々恋、のち狼

やばっ!

すでに全員音楽室に移動してしまったのだろう。
一人くらい声をかけてくれてもイイのに。
いくらまだ大して仲良くナイからって……。
ちょっと孤独を感じる。

ツカサも、あれ以来話しかけてこないし……。


第二音楽室ってどこだっけ!?


慌てて荷物をまとめ、バタバタと走り出す。


こっち!?


あいまいな記憶を頼りに学校案内図で見たはずの第二音楽室を探す。
入学して一週間。
音楽の授業は今日が初めてだ。


キーンコーンカーンコーン……


扉にガチャリと手をかけた瞬間、チャイムが鳴り終わった。


「ギリギリセーフ」


先生の声でアタシに視線が集まるのがわかる。

わざわざそんなこと言わなくてもイイのに……。

恥ずかしさに、うつむいた顔があげられない。


< 43 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop