弟、時々恋、のち狼
これ以上目立たないように早く席に着きたいのに、どこに座ればイイのかわからない。
教室とは違う並びの机。
「横に出席番号順だよ。ミフウさん」
先生の声に慌てておじぎをし、伏し目がちにまわりを見回す。
出席番号がアタシの次、加奈ちゃんが手招きしてくれた。
最初の授業からこんな大バカやらかすなんて……。
音楽の先生の顔が見られない。
地味に目立たず。
アタシみたいなのには、それがとっても大切なのに。
真ん中あたりの席にコソコソと座る。
また、なんだってこんなド真ん中……。
「ありがと」
隣の加奈ちゃんにそそくさとお礼を言い、また、机にくっつきそうなくらい顔を伏せた。