弟、時々恋、のち狼

「前世?」


こうして生まれる以前の、生。


「そうですぅ」


アタシは結構そういう話が好きで、前にゲームセンターで「人相から見る前世占い」っていうプリクラみたいな占いをやったこともある。

……結果は……はげしく友達に笑われたけど。

だって、アタシの写真がどんどんはげ上がって、ゴツくなって、最後に「江戸時代の大工の棟梁」なんて表示されたから。


「オウよりもコウキで、カミよりもコウゴウシイ。
アタクチタチのイフとソンケイのマトでしたわぁ」


そんなうっとりと語られても。
まったくもってピンとこない。


「ウツクしいハクギンのケ、スキきトオったアオいヒトミ……ユキよりケガれなく、ソラよりハてしない……」


ラッラは、恋する乙女もかくやという様子で歌うようにしゃべり続ける。

…………あ然とするアタシを置いて。


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