弟、時々恋、のち狼
「さっさとイきますわよっ!!」
ふぎゃーっ
とばかりに吼えたラッラは、毛を逆立ててアタシの手に軽く爪を立てた。
怒ってる!?
「アタクチがおオシえするより、ロゥにキけばいいんですわっ」
……え。
「ロゥって……。
どこ行く気?」
学校?
でも、時計はもはや5時を過ぎてる。
もちろん、まだ部活中の生徒や先生は残ってるだろうけど……。
やだな。
せっかく、帰ってきたのに。
せっかく……あれから一度も顔を合わせずに済ませたのに。
「もうすぐ暗くなるし、ママも帰ってくるからさ。今日はもうムリだって」
柔らかな背中をなでながら、説得を試みる。
学校なら、どうせ明日も行かなくてはならない。
「今日の夕飯は焼き魚だって言ってたし」
猫と言えば、魚。