弟、時々恋、のち狼
「マクラのシタをごランになってください。
アシタのアサにはモドりますので」
アタシが行く話しはなくなったらしい。
真っ白なつむじ風が飛び出して行くのを視界の隅で見送りながら、アタシは、ペタリと床にへたりこんだ。
まだ十分に明るい日差しが頬を暖める。
なのに、指先は凍えたかのように冷たい。
ーー枕の、下。
頭がぼぅっとして……うまく考えることができない。
アタシは糸の足りない操り人形ようにフラフラと立ち上がり、ゆっくりと枕をどけた。
チリリン……
コロンと何かが転がった。
はずみで、涼やかな音が部屋に響く。
キラリ。
置かれていたのは、親指の爪ほどの、まあるい鈴。
ガラス、だろうか。
そっとつまんで、左の手のひらにのせてみる。