弟、時々恋、のち狼
覚醒確率10%
胸を、切なさが締め付けるーー。
「ご決意は……変わりませんの?」
栗毛の少女が、悲しそうにこちらを見つめていた。
「仕方のないことだ。わかってくれるね?」
慰めるような、低く柔らかな声。
隣にいる私の心も、ゆったりと静まる。
……そう。
すべては、仕方のないこと。
他の道はない。
相談などしなくとも、わたしたち二人の想いは、自然と、その一つの道へと定まっていた。
「でもロウ様……っ」
「心配しないで。ね?」
「ミイ様……」
大きな瞳いっぱいに溜めた涙をぬぐってあげながら、小さく微笑む。
仕方のないことなのだけれど……。
この健気な子を悲しませてしまった心苦しさだけは、どうしても拭い去れない。
指先が、涙の苦く切ない味を感じた。