弟、時々恋、のち狼
「ありがとうね。ラッラ」
人の心とは、なんと愛おしいものだろう。
これほどまで一途に、誰かを想える。
「またいつの生でか、会えることを楽しみにしているよ」
やはり、ロウも同じ気持ちなのだ。
今この時、失望に覆われたワタシたちの心を辛うじて未来に向けさせる光が、ここにある。
「そんなことおっしゃらないでください!」
ワッと泣き伏す彼女の腕で、幾重もに巻かれた鈴が、悲鳴のような定まらない音を立てた。
まだ、幼さの残るラッラ。
たった11年そばにいただけなのに、こんなにも私たちを大切に思ってくれている。
たった11年。
我々には短く、彼女には長い。
「アタクシ……アタクシっ」
ただ、崇めるのではなく、まるで身内のように彼女は、わたしたちを慕い、愛し、泣いている。