弟、時々恋、のち狼
……ぼんやりと。
目が机の上の教科書をとらえる。だんだんと、自分が下を向いていることに気づき……。
「では今から配るプリントを宿題とします」
無意識に伏せていた顔を上げると、ちょうど、先生が教科書を閉じたところだった。
プリントなんか、わかるわけない。
ただでさえ苦手なのに、全然聞いてなかったもん。
プリントをまわし、授業終わりの礼をして、アタシはぐったりと大きく息をついた。
……疲れた……。
一体、いつまで続くんだろう。
昼には恐ろしい幻覚。夜には、内容はあまり覚えていないけれど、切なく悲しい夢が、アタシを待ち受けている。
ラッラに相談してみようかな。
思うのに、肝心のラッラはあれ以来まだ帰ってきていなかった。
すぐ帰ってくるって言ったのに……。