弟、時々恋、のち狼

「美風ちゃん、お昼は?」


仲良くなったカナちゃん達が、お弁当を片手にアタシの机を囲んでいた。


「あ、アタシ今日購買行かなきゃ。パン買ってくるから先に食べてて?」


笑顔が引きつっていないことを祈りながら、財布を片手に席を立つ。

クラスの中では、かなり地味めなアタシたち。
その、肩肘張らない、穏やかな雰囲気が気に入っている。


「じゃ、テラスにいるから。
購買、混んでないとイイね~」


カナちゃんの隣で、眼鏡のよく似合う秀才、リンちゃんもヒラヒラと手を振った。


食欲はないけど、食べなくちゃ。


半ば義務のような気持ちで、昇降口脇の購買部に向かった。

並んでいる人はさして多くない。

みんな、お母さんがお弁当作ってくれるのかな。
そう思うと、なんだか羨ましい気がする。


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