弟、時々恋、のち狼

「ん?」


どうかした?
とばかりの柔らかな笑みは、相変わらずさわやかで品がイイ。


「あ……」


ラッラのこと、聞いてみようかな。


差し出されたボトルを受け取りながら、「本当はこのヒトとちゃんと話しをしてみればイイんだ」と思う。

ロウは……学校での白羽先生は、穏やかで、優しくて。全女子生徒の憧れの的だった。
変わり者でも、変態でも、当然、ない。


「顔色良くないよ?しっかり食べてゆっくり休むこと」


ポンッと肩を軽く叩き、ロウは何事もなかったかのように去って行く。

残されたものは、押し付けられた烏龍茶と……



ーー放課後、音楽準備室に。



去り際に耳元で囁かれた言葉。


ラッラのことだ……。


確信にも似た気持ちで、そう思った。

< 82 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop