弟、時々恋、のち狼
「ん?」
どうかした?
とばかりの柔らかな笑みは、相変わらずさわやかで品がイイ。
「あ……」
ラッラのこと、聞いてみようかな。
差し出されたボトルを受け取りながら、「本当はこのヒトとちゃんと話しをしてみればイイんだ」と思う。
ロウは……学校での白羽先生は、穏やかで、優しくて。全女子生徒の憧れの的だった。
変わり者でも、変態でも、当然、ない。
「顔色良くないよ?しっかり食べてゆっくり休むこと」
ポンッと肩を軽く叩き、ロウは何事もなかったかのように去って行く。
残されたものは、押し付けられた烏龍茶と……
ーー放課後、音楽準備室に。
去り際に耳元で囁かれた言葉。
ラッラのことだ……。
確信にも似た気持ちで、そう思った。