秘め恋*story5~車の中で…~
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「合格です。」
「ありがとうございます!」
ついに仮免許取得!
車校1日目は一体どうなるんだろうと思ってたけど、何とか第一難問クリア。
でも、それはこの教官だったからだろうな。
きっと。
「はぁ。仮免合格だぁ。」
「多香子~、次路上教習だよ?」
「そうだよー。。大丈夫かなぁ、
事故ったらどうしよ。。」
仮免合格を祝して、真奈美と車校近くのカフェでプチご褒美会。
プチケーキのワンプレートにため息を洩らす。
「大丈夫だよ、永井ちゃん。」
「え?」
突然旧姓の永井で呼ばれて、驚いて顔をあげると、
「あ、今は阿部ちゃんか!ごめんねー。」
「あ、洋介くん?」
「そ、久しぶり。」
車校のジャンパーを羽織った、真奈美の元カレであり真奈美の現在の担当教官の洋介くんだった。
相変わらず、人当たりのいい彼。
変わらないなぁ、学生の時と。
「ここ、いい?」
「どうぞ、どうぞ。」
4人掛けの席の私たちの席の空いてるところに腰かける洋介くん。
“何で勧めんのよ。”と文句を言う真奈美は放っておいて、私はコーヒーを啜る洋介くんに話しかけた。
「路上教習、怖いよー。。」
「大丈夫だよ。最初は怖いだろうけど、隣に教官乗るんだし、安心して運転しなよ。」
「そうそう。私だってこんなのだけど、隣に乗ってないよりマシよ。」
真奈美がおどけて言うと、洋介くんがツッコむ。ふふ、学生時代に戻ったみたい。
「それに、阿部ちゃんの担当って、柳さんでしょ?」
「うん。」
「じゃあ、大船に乗ったと思って、運転しなよ。柳さん以上に安全安心な教官いないから。」
「そうなの?」
「そうだよ。あの人の運転テクニックは、俺も目標だもん。俺、女だったら絶対惚れてる。」
洋介くんが太鼓判を押す柳教官。
確かに…隣からハンドルを握って操作をする柳教官は、嫌でもカッコ良く見えちゃう。