秘め恋*story5~車の中で…~
「はい、では担当の教官が各教室に伺いますのでしばらく指定の教室でお待ち下さい。」
受付の女性がにこやかな感じで説明してくれた通り、真奈美と指定の教室へと向かった。
ついに今日から、車校へと通う。
初めて入った車校の中は、とても綺麗で雰囲気のいい所だった。
「私、ここの教室だから。また後でね♪」
「うん。また、後で♪」
真奈美と別れて、自分の指定された教室へ向かう。
と、曲がり角を曲がった瞬間…
ーーーーードンッ。
「痛っ。」
「キャッ…」
誰かとぶつかってしまった。
尻餅をついた私は、慌ててぶつかってしまった人に謝った。
「ご、ごめんなさいっ。。」
初日早々、何してるの私っ!
「前方不注意。車だったら、アウトですよ。」
「へ?」
突然そう言われてしまった私は、思わず変な声が出た。
慌てて下げていた頭を上げると、そこには真顔で私を見下ろす…イケメン。
シャツにネクタイ、車校のジャンパーを着たその人は明らかに教官であろう男性だった。
「ぼーっとしてたら、事故りますよ。
気を付けてください。」
「は、はい。すみませんでした。」
その人は淡々と真顔でそう言うと、去っていった。
私は、まだ教習も始まってないのにドジったと落ち込んだ。
教室について1人教官を待っている間、さっきの人は教官なのかな…あんな恐い教官に当たりたくないな…なんて考えていた。
ーーーーーガチャ。
教室のドアが開く。
そして、私の前に現れたのは…
「今日から、担当教官となりました、
柳 弘人(ヤナギ ヒロト)です。宜しくお願いします。」
少し長めのスポーツ刈りの黒髪。
綺麗な二重のアーモンドアイにスッとした鼻。
薄めの唇。
そんなイケメンがニコリともせずに、自己紹介した。
そう、ついさっき私が廊下でお説教をされた
こわーい教官だった。