秘め恋*story5~車の中で…~
ーーーーー
「今のところ、一時停止ですよ。」
「あっ。」
「・・・」
「す、すいません。。」
助手席でやれやれ顔の柳教官。
に、しょぼーんとしながらS字カーブに差し掛かる私。
車校に通いだして、1週間。
教習所内にあるコースで実技教習に励んでいた。
相変わらず、厳しい柳教官。
でも、ちょっと慣れてきたもん!
ーーーーーガシャン。
「いつも言ってますよね、ハンドル切るのが遅いです。もっと早く。」
「はい。。」
いえ、慣れません。
毎日しごかれて、泣きそうです。
「では、今日はこれで終わりです。
車庫に入れてしまうので、車庫まで運転してください。」
「は、はい。」
記録用のファイルを見ながら、そう言った柳教官のいう通り車庫へと向かった。
ずらりと教習車の並ぶ車庫の前に到着すると、
運転席を変わろうとシートベルトを外しかけた私を、柳教官は止めた。
「外さなくていいです。
このまま入れますから。」
「え?」
「ハンドルから手を離して、おとなしくそのまま座ってて下さい。」
「は、はい。」
言われたようにハンドルから手を離して、おとなしくする。
すると、助手席に座る柳教官はそのまま片手でハンドル、そして助手席にあるブレーキ操作でなれた慣れた手つきで車庫入れしてしまった。
かっ…カッコイイ。。
不覚にもそんな柳教官のカッコイイ仕草に見とれてしまった。
さすが、車校の先生だぁ。
「俺の顔に何かついてるか?」
「え、いえっ。あ、ごめんなさっ…つい、
って、あれ?タメ口…?」
慌てて謝るも、いつもの聞きなれた敬語じゃなく、ちょっと俺様なタメ口が聞こえてきてビックリしてしまう。
「教習終わったし。俺、一応年上だから。」
「え!あ、そうなんですね。」
確かに。落ち着きあるし、年上かなぁとは思ってたけど。
それから、車から降りて自販機のある休憩室へ来た。